わたし、まゆらが常に感じること、第1位。
『この世はなんと行きにくい』
性自認が女に生まれたからには、化粧をしなけりゃ外にも出られない。
短いスカートを履いたなら、パンツが見えたらはしたない。
恋人がいなけりゃ、あざ笑われる。
同棲を始めりゃ、必ず結婚すると思われる。
髪をピンクに染めたら、アルバイトすら就職できない。
ピアスを2つ以上開けたらなら、親が勘当する。
派手デコネイルをしてたら、働けない。
「YouTuberやるわ」なんて日には、陰口の格好の餌食だ。
『この世はなんと生きにくい』
偏見と言われてしまえばそれまでなのですが。
わたしは時々自分の存在意義が分からなくなる。
彼君でさえ、わたしを必要としてくれているのか疑いたくなる。
もちろん親姉妹も同じ。
こんなに生きにくくて、こんなにはた迷惑な人間なら消えてしまいたくなる。
自分の必要性が分からない。
わたしはいったい何を生み出せる?
美術品?
科学機器?
生活用品?
食品?
お金?
何も生み出せない。
消費するだけの有機物。
無為で無意味な生き物だ。
きっとわたしは、家族や彼君、世間の”一般的な”人たちには不可解で迷惑な存在だろう。
リスカして、アムカして、ODして、そうしてやっと生きている。
見た目は派手なメイクのピンク色の女なのに。
でもわたしは―…
こういうわたしを認めてほしい。
変わった趣味をしていて、
変わったファッションが好きで、
時間のかかる濃いメイクが好きで、
見たこともないような髪型が好きで、
毛先がピンク色で、
ピアスが7コ開いていて、
タトゥーに憧れていて、
利き腕にカットの後があって、
”一般的な”社会人が出来ない。
そういうわたしを認めてほしい。
「理解してくれ」なんて傲慢は言わない。
ちょっとどこか心の隙間で受け入れてくれるだけでいいんだ。
”一般的な”人間じゃないわたしを受け入れてほしいんだ。
そう強く思う時、感じるのはただひとつ。
『なんて生きにくい人間に生まれ育ってしまったんだ』
だからわたしはいち早くこの人生を終えたい。
そして死んだら骨は海に撒いてもらいたい。
クラゲになるために。
もう眼球も脳も心臓も要らない。
わたしに意識なんて要らない。
願望なんて、好みなんて、そんなもの必要ない。
ただ美しくて、毒のある、柔らかいクラゲになりたい。
なぜクラゲかって?
ただ好きなだけです。
シンプルにこの世の生き物の中でクラゲが一番好き。
それだけ。
美しくて、かつ酷く自衛できるじゃないですか。
わたしもそうだったらな。
人生、違っていたかな。